5 – 1 内装工事会社と建築会社の選定

内装工事会社と建築会社の選定は、クリニック開業において非常に重要なステップです。信頼できる会社を選び、スムーズな工事進行を確保するためには以下のポイントを押さえておきましょう。

選定のポイント

  1. 医療施設、特に眼科クリニックの施工実績
  2. 専門性と技術力
  3. コスト管理能力
  4. コミュニケーション能力
  5. アフターサポート体制

5 – 2 内装に関して

レイアウトの決め方

建築および内装の打ち合わせは、クライアント(クリニック開設者)建築業者または内装工事会社リィツメディカルの3社で行います。内装、建築、設計会社が異なる場合には、4社での打ち合わせが必要です。以下の流れで進めます。

  1. 初回打ち合わせ
    初回の打ち合わせでは、関係者の顔合わせと現場の状況確認を行います。クリニックの場所やスペース、既存の施設条件などを考慮し、全員が理解を共有します。
  2. ゾーニング(大まかな間取りの検討)
    その後、ゾーニングと呼ばれる大まかな間取りの打ち合わせを行います。
    ゾーニングでは、受付や待合室、診察室、検査室、手術室などの各エリアの位置や大きさを決定します。動線を考慮しながら、患者やスタッフが効率的に移動できるような配置を検討します。
  3. 具体的なレイアウト提案
    大まかな方向性が決まった後、医療機器や什器の具体的な配置について打ち合わせを行います。各診療室や手術室に必要な医療機器の設置場所を決め、それに基づいて電源や配線の配置を調整します。
    この段階で、医療機器の見積もり提案も合わせて行い、コストや導入時期についても確認します。

眼科クリニックの動線

眼科クリニックでは、患者の動線をいかに効率よく設計するかが非常に重要です。眼科は他の診療科と比べて検査や処置が多く、患者の院内での動きが複雑になることが一般的です。患者の動線がスムーズで短くなるようにレイアウトを工夫することが、快適な診療体験の提供につながります。一般的な患者の動線は以下の通りです。

  • 通常の診療の場合
    受付 → 検査室 → 診察室 → 追加検査(必要な場合) → 受付(会計)
    このように、患者は受付後にまず検査を受け、その後診察に進む流れが一般的です。視力検査を行うスペースから中待合、診察室までの移動距離をできるだけ短く設計することが重要です​​。
  • 手術の場合
    受付 → 手術前室 → 手術室 → リカバリールーム → 受付(会計)
    手術の場合は、術前準備から手術後のリカバリーまで、スムーズかつ安全に移動できる動線を設計します。患者のプライバシー保護や感染症対策にも配慮したレイアウトが求められます。

視力検査や眼底検査など、さまざまな検査室への移動が多いため、診察室や中待合室との距離を考慮した動線設計が大切です。また、RBM(リィツメディカル)専門知識6-46-6の参考資料を元に、検査から診察、会計までの流れを効率よく行えるようなクリニックレイアウトを検討します​。

参考

眼科診察の流れ|RBM 専門知識6-6

眼科診療所レイアウト|RBM 専門知識6-4

図面のチェックポイント

図面のチェックは、クリニックの開業後の運営に直結する重要なステップです。以下のポイントを押さえ、万全な状態でチェックを行います。

  1. 電源・LAN配線
    高齢者や視覚障碍者の患者が多い眼科クリニックでは、コード類によるつまずき事故防止が特に重要です。以下の対策を考慮し、配線を工夫します。
    • フロアコンセントを設置し、コードを床に直接引き回さないようにする。
    • 床下にピットを設け、配線を床下に隠す設計にする。
    • OAフロア(配線用の空間が設けられた床)にして、配線を床下で行う。
    • これが難しい場合は、モールを使用してコードをまとめ、つまずき事故を防ぎます。
  2. レイアウト変更のしやすさ
    眼科クリニックでは、検査機器の入れ替えや配置変更が発生する可能性があります。その際、電子カルテのサーバーやLAN配線も一緒に変更する必要が出るため、内装はレイアウトの変更が容易にできる設計にしておくことが望ましいです。
  3. 手術室の感染症防止 
    手術室は「クラス10,000」(1フィート立方内に0.5ミクロン以上の浮遊粉じんが10,000個以下)を基準にクリーン度を保つ設計が一般的です。手術室内の掃除のしやすさや、機器配置による清掃の効率も感染症防止に大きく寄与するため、設備や家具の配置を計画的に決めます。
  4. バリアフリー
    眼科クリニックでは高齢者や視覚障碍者が多く来院するため、段差やスロープを避けた設計が必要です。また、散瞳などにより視界が一時的に悪くなった患者が通院しやすい環境を整え、手すりや広い通路、床材に滑りにくい素材を採用するなどの配慮が求められます。
  5. クライアントの要望が反映されているか
    以下の点について、クライアントの希望が反映されているか確認します。
    • 電子カルテのオンプレミス対応
      サーバー設置場所を建物内で適切に確保し、運用に支障がない場所を選定します。
    • 医療機器の設置場所
      医療機器が明室か暗室のどちらで設置可能かを確認し、できるだけ明室を有効活用します。
    • 医療機器の見栄え
      医療機器の配置が美しく整っているか確認します。特に視力表は壁掛けにすることが望ましく、必要があれば壁の補強も事前にヒアリングし、計画に反映させます。
    • 手術室の床材
      手術室の床材は埃がたまりにくい設計にします。巻き上げ式の床材を採用するなど、清掃しやすい設計にすることが重要です。
    • LAN配管の配線
      LAN配線は見落とされがちですが、建築・内装業者に依頼して配管内に通す配線工事をしっかり確認します。これにより、クリニックの電子機器やネットワーク設備が安定的に運用できるようになります。
  6. 経験豊富な先輩SPに意見を聞く
    図面によってチェックすべきポイントが異なることが多いため、経験豊富な先輩SP(スペシャリスト)に意見を聞くことも大切です。経験者のアドバイスを受けながら、図面に不備がないか徹底的に確認します。

院内サイン・看板

バリアフリーが必要であるのと同じ理由で、トイレや検査室の位置を示す院内サインの見やすさが重要です。サインを軽視し患者が迷いやすくなる環境では、スタッフの手間が増えるばかりか患者さん満足度の低下につながる可能性もあります。
また、集患においても看板は効果的です。クリニックの前や最寄り駅、駐車場の周辺などに、看板を建てることにより地域の人の目に留まりやすくなり、クリニックの認知度が高まる効果が期待できます。また近年は野立て広告に二次元コード(QRコード)などを表示してモバイル経由でホームページに誘導したりすることも増えてきています。

しかし、看板設置には敷地内であってもオーナーさんの許可が必要だったり、独自のルールがある可能性もあるため、事前確認が必要です。
サイン・看板のデザインは、広告会社と相談をしましょう。

院内サインの事例

屋外看板の事例

看板の種類

5 – 3 工事中の現場確認・施主検査

1. 工事中の現場確認 チェックポイント

工事が進行中の段階で、設計通りの施工が行われているか確認するためのチェックポイントを以下にまとめます。これにより、後々の修正を防ぎ、スムーズに工事を進めることができます。

  1. 電源位置と容量
    • 壁が立つ前に電源の位置を確認する。
    • 電源の容量が医療機器や照明の使用量に適しているかをチェックする。
  2. 配管(LAN)
    • LAN配管が適切な場所に設置されているか確認する。
    • 配線が建築・内装と干渉しないように適切に配置されているかを確認する。
  3. 補強の確認
    • 壁の補強部分が設計通りに行われているか確認する。
    • 視力表など壁に取り付ける医療機器がしっかり固定できるよう、壁の補強が適切に行われているか確認する。
  4. 扉の位置とサイズ
    • ドアの種類に間違いがないか(引き戸、開き戸など)確認する。
    • ドアの開く方向が内側・外側、右側・左側で図面通りになっているか確認する。
  5. 壁や窓、収納の位置
    • 収納スペースが図面通りのサイズで設置されているか、変更がないか確認する。
    • 窓の種類(引き違い、上げ下げ、縦すべり窓など)に誤りがないか確認する。
    • 窓の取付高さやサイズが図面通りか確認する。
  6. 照明器具の位置と数
    • ダウンライトや照明器具の数に誤りがないか確認する。
    • 照明器具の位置が図面通りで、全て点灯するか確認する。
  7. 傷や汚れ
    • 壁紙クロスに傷や汚れがないか、剥がれていないかを確認する。
  8. 機器の設置イメージ
    • ダンボールなどを使って、医療機器の設置イメージを事前にシミュレーションし、スペースが十分確保されているか確認する。
  9. 戸建ての場合は屋外の確認も行う
    • 外壁にひび割れや欠けがないか確認する。
    • 外構工事に終わっていない部分がある場合、その完成時期を確認する。
    • コンクリートに異物の混入や足跡がないか確認する。

2. 施主検査 チェックポイント

施主検査では、工事の最終確認を行い、全体が設計通りに仕上がっているか、問題がないかを確認します。問題が見つかった場合は「是正工事」や「追加工事」に分類し、書類として記録に残します。

  1. 是正工事と追加工事の分類
    • 先生(施主)からの指摘事項を「是正工事」(工事中の誤りや不具合の修正)と「追加工事」(契約に含まれていないが、先生の希望で追加する工事)に分類します。
    • 追加工事は別途費用が発生するため、その旨を施主に伝え、見積もりを提出します。
  2. メモと記録の管理
    • 施主検査では、工事担当者が積極的にメモを取るべきですが、準備が整っていない場合、スプレッドシートなどに記録を残します。
    • 指摘事項は具体的な箇所を明記し、写真を撮影して記録に残すことで、後日の確認や修正がスムーズに進みます。
  3. 是正工事の対応と工事日程
    • 事前検査で確認された是正箇所については、誰がいつまでに対応するか、その場で説明します。
    • 施主検査で新たに発見された是正箇所については、その場で工事担当者と工事日程を決定するか、後日調整して先生に案内します。
  4. 追加工事の費用説明
    • 追加工事については別途費用が発生するため、施主に説明した後、正式な見積もりを提出します。