眼科クリニックの経営において、リスク管理とトラブルマネジメントは不可欠です。
特に、労務管理、キャッシュフロー管理、コンプライアンス、患者トラブルの4つの観点から、具体的な対策を講じることが求められます。
14-1 労務

開業後に最も多いトラブルの一つが労務問題です。
優秀なスタッフを確保し続けることが重要ですが、労働環境の悪化やコミュニケーション不足が原因でスタッフが離職し、患者対応に支障をきたすこともあります。
労務管理のポイント
- 職場環境の改善
- 労働時間や業務負担のバランスを取る。
- 院内の人間関係を円滑にし、離職防止を図る。
- スキルアップの機会を提供
- 学会参加や研修の補助を行い、スタッフの成長を支援。
- 昼休みにメーカー主催の勉強会を開催し、最新医療技術を学ぶ機会を提供。
- タイムレコーダーの活用
- 労働時間管理を明確にし、未払い残業代などのトラブルを防ぐ。
- 労働契約と法的責任
- 労働基準法や社会保険手続きを遵守し、弁護士や社会保険労務士と連携して適切な管理を行う。
14-2 キャッシュフロー

クリニック経営では、安定した資金繰りが非常に重要です。
特に、保険診療の収入は請求月から2か月後の振込となるため、開業後2か月間は収入が少ない状態が続きます。
資金繰りの対策
- 運転資金の確保
- 開業時に十分な運転資金を準備する。
- 最低3〜6か月分の運転資金を確保するのが望ましい。
- 初期費用の圧縮
- 不要な医療機器の購入を控える。
- スタッフ雇用を最小限に抑える。
- 資金計画の工夫
- 金融機関の「1年据え置き」融資の活用。
- リース支払いの開始時期を遅らせる。
- 運転資金のための短期融資を確保する。
14-3 コンプライアンス
クリニックの信用を守るためには、法令遵守(コンプライアンス)が不可欠です。
医療法や労働法の違反は、患者やスタッフの信頼を失う大きなリスクとなります。
遵守すべき主な法律
- 個人情報保護法の遵守
- 電子カルテや患者情報の取り扱いに細心の注意を払う。
- 院内の情報管理体制を強化し、情報漏えいを防ぐ。
- 労働時間管理
- 残業時間の適切な管理(36協定の締結)。
- 有給休暇の適正な付与。
- 診療報酬の適正請求
- 不正請求を防ぎ、監査リスクを回避する(無駄に厚生局による個別指導を受けない)。
- 医療安全対策
- ディスポーザブル製品の再滅菌禁止。
- 再滅菌を行うと、スタッフのリークリスクや医療訴訟に発展する可能性があるため、適切な対応を行う。
- 弁護士や社会保険労務士との連携
- 法令遵守のためのアドバイスを受け、適切な組織体制を構築する。
14-4 患者トラブル
患者トラブルはどんなに気をつけていても発生するため、事前の対策が重要です。
特に、待ち時間の長さが不満の原因となることが多く、クレームが発生しやすいポイントとなります。
患者トラブルの主な原因と対策
- 待ち時間のトラブル防止
- 事前に検査内容によって呼び出し順が前後する可能性があることを説明、または院内掲示する。
- 「たくさんの患者さんにご来院いただいているため、お待ちいただくことがあります」とアナウンスする。
- リアルタイムの待ち時間表示システムを導入し、患者の不安を軽減する。
- 予約システムの導入
- Web問診システムの導入
- 口コミリスクの管理
- 悪いクチコミが拡散されるとクリニックの信頼を失うため、丁寧な対応を心がける。
- googleの悪いクチコミを消しますという悪徳業者の存在を知らせておく。

